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MAGAZINE #52019.10.01

伊勢海老という海の恵み

Blessing of the Sea

伊勢志摩最高のご馳走といえば、伊勢海老がその筆頭に上がると思います。古くからこの地で獲れたことから、その名がついたことでも分かるように、名産地として昔から珍重されてきました。

伊勢海老は、鎌倉海老、外房伊勢海老と収穫地で呼び名が変わることはありますが、文献に現れたときから貴重な食材として高価な贈り物とされていました。特に、縁起の良い食べ物としても知られ、「威勢が良い」との掛け合わせからも武勇の象徴として武士達に喜ばれ、不老長寿の意味合いを持たせたりして正月の飾り付けにも度々登場します。

そんな歴史的な背景を知りつつも、実のところ、伊勢海老最大の特徴は“美味しい”に尽きます。見た目の荘厳さと味わいの奥深さは他の追従を許さないほどと言われます。

それだけに貴重な水産資源として扱われ、5月から8月にかけての産卵期は禁漁期間。ここ伊勢では10月に漁が解禁となり本格的なシーズンを迎えます。

伊勢海老漁はとても慎重に行われ、一匹一匹を丁寧に網から外し、触覚や脚などに傷や折れがないように網から外されます。

大きいものでは体長30cmにもなり、過去最大のものは38.5cmという記録があるほどです。

HIRAMATSU KASHIKOJIMAのシェフ・今村将人は、そんな特別な伊勢海老を求めて自ら漁港に出向き、吟味した上で料理へのアイデアを考えます。

「食材探しや厳選から料理は始まっている。そんな”ひらまつ流”の考え方からも、自分の目で確かめて食材を決めていくのが楽しみの一つでもあります」。

そう答えるシェフ今村。地元の漁師の方々だけでなく、仕入れを助けてくれる魚卸商との対話も重要な要素になります。

「伊勢海老の料理の方々からは、色々と教わりました。ここ伊勢志摩は伊勢海老だけでなく、豊富な魚介があり、自分の目で確かめつつ地元との繋がりを大切にすることで、ここでしか味わえない美味しさを見つけてご提供できるようになるんだと思います」。

魚卸屋の女将からも伊勢志摩の魚介の奥深さを教わりつつ、シェフ今村ならではのアイデアを紡ぎ出しています。

「夏場の黒アワビや、冬場にかけてのアマダイやアカハタなど、ここ賢島ならではの魚介類が豊富にあることが、私たちの料理のクオリティをアップさせてくれています」。

一尾一尾丁寧に火入れされ供される伊勢海老を中心に、旬の伊勢海老をはじめとした伊勢志摩ならではのスペシャリテを存分に楽しむ、美食の旅へぜひお越しください。

Text : マガジン編集部

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